衝撃工学でみる物打ち

千年以上にわたって、命を掛けた道具としての太刀や刀。

それぞれの刀によって最も截断に優れた場所というのは、違ってくるかと思います。

それらの物打ちの位置を調べる簡易的な方法として、刀装した刀身を叩いて打撃音から判断する方法が知られているそうです。

横手筋の下あたりから木片の角などで、はばき元に向かって少しずつ位置をずらして軽く叩いていくそうです。「コン」と澄んだ音が聞こえる位置が物打ち位置だそうです。ただし、振動工学から見た定番振動の節(せつ)を調べることに相当するものだそうです。過度応答を含む衝撃応答実験とは多少違う結果が出てくるそうです。けれども多少の違いがあったからといって、とてもわずかなものだそうです。なので、これを有効な手段としてもいいそうです。日本刀の物打ちの部位としては、野球のバットにたとえるとバットの芯(スイート・スポット)に相当すると考えられるそうです。バットの芯は、ボールを当てるとだいたいの位置を知ることができるそうです。プロ野球の人が、気が遠くなるほど素振りをしたり、打撃練習をしているかと思いますが、武士も物打ちの部位を知るために延々素振りをしたのかもしれないと思うと面白いです。また、野球のバッドも計算上、芯を厳密に知るということができないそうです。そのバッドを使う人次第になるということでしょうか。日本刀と同じですね。

「バッドの回転中心を握り、打撃中心で打てば、ボールの飛距離が最大になり、手に力がほとんど掛からず、手もしびれない」と言われているそうです。

ただ研究者からすると、バッドは衝撃によって変形するということもあり、実際とは少し違うのだそうです。

また、バッドは持った時と置いた時と芯の位置はほとんど違いがないそうです。