貴族の肖像画と帯刀

宮中で日本刀を帯刀することは、その人の位を表しています。位の高い人に与えられている特権とも言えるでしょう。貴族の肖像画に描かれている人々は、必ず太刀を帯刀しています。これも当然、位の高さを表すのです。例えば、聖徳太子の肖像画です。ここに描かれているのは、三人の子供まで含めて皆が帯刀しています。学問の神様としても知られている、平安時代の菅原道真も同じです。文章博士に任ぜられるほどの典型的な文官にも関わらず、肖像画は全て、太刀が覗く形になっています。平安時代の後期頃からは、平清盛・源頼朝・源義経などの武士の肖像画が描かれていくようになりましたが、当然ながら帯刀姿です。今までの貴族のように、特権を象徴するために帯刀していたのです。これは、『元々日本刀が天皇から授与される宝物であった』というころを、由来としているそうです。